10-a 電子が受け取るエネルギーの計算

投稿日 : 2021.07.12


アインシュタインが示した次の関係式を導くには、3つのポイントがあります。

1)電子はt=0から電磁場の力を受けて時刻tで速度vになったとして、その瞬間の電子をK系として座標をxとします。そして、その時刻tから微小な時間dt後の電子をK'系とし、座標をx’、時刻をt’と考えます。

すると、K系での加速度をα、K'系での加速度をα’としますと、K系から見た電子の速度はv+αdtで、K’系での電子の速度はv+α’dt’と書けます。したがって、K系とK’系の速度の関係式は、前に示したように次のようになります。7530e35e5a63c2598314548428431eba498aa0d0.png

これから次の関係式が得られます。cd6f28de856e45a28e0b4e01bcce4dfc4d89efef.png

今は電子の運動はcに比べて非常に小さいと考えていますので、この式の分母は1と見做せます。これから、次の関係式が得られます。f22b4ef29db3cd7075dff510513d39447a8bb1bb.png

一方、ローレンツ変換の時間の変換式から、vがcに比べて小さいという関係を考慮すると、次の式’が求まります。28996af61b766e74c4b2e1ac2cd76b984eb7b9a3.png

これを上の式に代入してα’を求めると、次の式が得られます。

equation(82).png

アインシュタインの論文の標識では、この式の分数の部分がβとなっています。この標識に従ってwを計算すると、次のようになります。28f53a8d4de741fb44b84d5865b5e18d6dcddfc4.png

2)ここで表立って見えませんが、電磁場についてのマックスウェル方程式が、ローレンツ変換によって変わらないことが証明できるという点が佉慮されています。この証明は専門的になるのでここでは述べませんが、詳しくは少し詳しい電磁気学の専門的な教科書を参照してください。

3)積分計算のテクニックです。上の式の一番右の積分を計算すればWが求まります。そこで計算の便利のためにc2を掛けてまたc2で割るということをしますと、次のように形を整えることができます。

equation(87).pngさらにequation(71).pngと置き換えて両辺をzで微分しますと、equation(72).pngとなり、求める積分は次のようになります。equation(73).png この値はequation(74).pngです。したがって、定積分としては次の値が得られます。f270e8e9e56313bbb71f5c30686e5561889bfd64.png

これからアインシュタインが示した次の式が得られます。

equation(76).png