34-a 補足

投稿日 : 2021.11.03


ニュートンの運動方程式は、運動量p=mvを使って表現すれば、次の式で表されます。equation(312).png(1)
この式の両辺に回転軸から測った物体の位置rをベクトルとして掛ける(ベクトル積)と次の関係式が得られます。equation(313).png


ここで、左辺の形を整えるために次の量を計算します。equation(314).png
この式の右辺の第1項はゼロなので、equation(315).pngとなります。

ここで、34で述べたように角運動量は012a4ebfafccfd395781f2aedafa83ffb210835f.png なので、この関係式は次のように整理できます。equation(316).png(2)


この右辺はトルクと呼ばれる物体を回転させる要素です。つまり、この式は物体にトルクを与えると、Lが変化することを表しています。従って、(1)と(2)を比べると、「運動量」pに対して、Lは回転についての運動量に対応する量なので、「角運動量」と呼ばれるわけです。

運動量は物体の動かしにくさ(慣性)を表しますが、角運動量は物体の回転軸の方向も含めた回転運動の変えにくさを表す量といえます。私たちが日常で経験していることですが、自転車は、ハンドルを回わしてトルクを与えないと曲がれないのはこのためです。なお、トルクの語源はラテン語の「ねじれ」だそうです。