5.胎便と排便について
投稿日 : 2024.10.15
赤ちゃんは分娩後1両日中に黒い大便を出します。これを胎便といいます。
乳をまだ飲んでいない生まれたての赤ちゃんが黒い便を出しますので、これを胎毒だと誤解する人もいます。
この胎便は母親の胎内にいるときの羊水とともに飲み込んだ自分の産毛や上皮などからできたもので、普通の大便とは違って細菌も含まれず想像以上に清潔なものだといえます。
わが国の古来の風習で、大便はどうしても出させなくてはならなものだといってまくりを飲まします。また著しくは、胎毒を出させるとして長く使い続ける人もいます。これらは下剤ですから一度や二度はともかく、多量に使うとか数日間飲ませ続けるとかえって胃腸に害があって、乳を吐き始めたり、便秘を起こしたりする赤ちゃんがよくいます。これはとても注意すべきことです。まくりをぜひとも飲ませなくてはならないと考える人がいますが、これは間違いです。
赤ちゃんには最初から母の乳を飲ませればよく、母の初乳は排便の効き目があり実に自然の冥利です。
もし胎便がない場合として、急いで医師の診断がいるのは、めったにないことですが肛門が閉塞している場合です。
黒い胎便は2~3日で出てしまうものですが、もしあまりに長く黒い便が続くとか、一度は黄色の便が出たあとにまだ黒い便が出れば、考え直す必要があります。新生児のメレナという胃とか腸から出血する病気で、大便が黒くなることがあるからです。
私の診察した例では、生後7~8日に黒い血便が出ているときに、家族が胎便と間違ったことがありました。
さて、母の乳を飲みだすと、卵の黄のような色の柔らかな便が一昼夜に3~4度でるものです。大便をした後はぬるま湯に浸した柔らかな布でよく拭いて、清潔に保つ必要があります。もし大便の色が変化、たとえば青いとか、粘液状態とか、ひどいときには酸っぱい臭みがあるとき、また便秘の時、肛門が爛れたときには、すぐに医者の診察を受けてください。
小便はいつも色は薄く無臭であるべきです。人工乳の場合は別にして、新生児は小便をよくするものです。
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