15.母乳の与え方

投稿日 : 2024.10.15


母親は分娩後しばらく休息します。新生児は産湯が済むと眠ります。

その後、初めて目を覚ましたときはちょうど産後およそ7~8 時間になりますので、その時に授乳しましょう。

日本では産後3 日目に初めて乳を飲ませる習慣があるようで、それまでは前にも述べた、まくり、五香(センブリ)をたくさん飲ませますが、これは良くないことです。

産後2~3日はまだ乳房が十分張らず、分泌が少ないものです。特に初産では乳児は2~3 日は良く寝るもので、母乳は1~2 滴口の中にたらせば、何も飲まさなくても害はありません。

いろいろなものを与えて満腹にさせるよりは空腹にさせておく方が母乳をよく吸い出すものです。

先に述べたように、生後2~3日は新生児の飲む量はいたって少ないので、乳の吸い方が少ないからといって他の飲み物を与えるのはよくありません。かえって母乳の出方が悪くさせるだけでなく、小児の発育に支障が出ます。特に初乳には下剤の働きもあり、胎便を出す効能がありますから、できるだけ母乳をのませましょう。

乳を出すときは、右と左を交互に使いましょう。また、乳房は授乳の度に、一度煮沸したのち温くした清潔な湯に浸した布で洗いましょう。これは何よりも大切なことです。

ここで特に言っておくこととして、度々見受けることですが、母親とか乳母が乳をのませるときに不潔な指先に唾をつけて乳頭を濡らすことはとてもいけないことです。このような不注意で小児の口やのど胃腸に病気が発生します。特に産後に悪露が指先についていたりすると、非常に危険です。ですから、授乳者の手はよく清潔にしておきましょう。

授乳の回数は最初の一週間は3時間おき、夜は4 時間おきと決めて、その後は昼間は2 時間半、夜は3 時間と定めましょう。しかし、虚弱な子の場合は、すこし間隔を短くしましょう。

授乳時間が定まった子は通例ではとても健康なものです。授乳の長さは子供が自分で定めるもので、満腹になると乳房を自分で離します。

母乳は小児の胃の中でおよそ1 時間と45 分ほどで消化され腸の方へ行くものです。ですから2 時間以内に次の授乳をしないようにしましょう。

子供が泣くからといってすぐ乳を飲ませるのはやめましょう。なぜ泣くのかその原因に注意を払ってください。