19.生母の乳母に対する努め

投稿日 : 2024.10.15


生母は何よりもまず乳母を愛さなくてはなりません。また、一方ではすべての点でよく彼女を管理しましょう。

しかし、決して感情的になって腹を立ててはなりません。とくに乳母になる人は教育の機会が十分に得られなかったことも多いので、身体を清潔に保つ方法や小児の扱い方について丁寧に教えましょう。

決して叱ってはなりません。一方、あまり大切にしすぎてもよくありません。

乳は精神の起伏、食物の変化によってとても変化するものなのです。ですから雇い入れた最初にはあまり厳重に管理せず、すべて優しく接し、家風になじむまでは特に注意して接してください。また食事も乳母が食べなれているものに、少し献立に色を付けて、味噌汁や魚などを加えるようにしましょう。あまりに急にご馳走をしたりするとか、口になれないものを食べるのは避けましょう。このはとても注意のいるところです。

乳母に対する養生は、母に対するものと同じです。そして十分に運動するように注意し、おしめの洗濯や勝手仕事もしてもらいましょう。

こんな話があります。ある家が乳母を雇った時のこと、とてもいい人で乳もよく出ました。しかし、次第に出が悪くなってしまいました。そこでよく調べたのですが、食事などあらゆる点で不足なく接していました。ところがその人は田舎から出てきた人で、元はとてもよく仕事をしていたそうです。しかし、この家に来てからは運動量が減って、そのために乳の出が悪くなったことがわかりました。

そこで、沢山働いてもらうために、主人の弁当を遠くの役所へ届けてもらった結果、元通り乳がよく出るようになったそうです。

さて、その後、不幸なことに子供が病気になって乳母も同じ部屋で閉じこもることになったのです。すると又乳の出が悪くなりました。しかし、子供が治り、元の生活に戻りますと、またたくさん乳が出るようになったそうです。つまり、運動がとても重要なことがわかります。