２０．乳母の努め

乳母は、その子供を愛情深く育て、病気にかからず丈夫に成長させるだけでなく、その子の性格が良くなるように努めるべきです。

丈夫で賢く育った暁には、必ず生母と同じように恩返しをしてくれるものです。したがって、単にお金を稼ぐために雇われているのではないことを忘れてはいけません。

乳母は、最初に雇われたとき、その家の風習に馴染むのは難しく、さまざまな不自由を感じるかもしれません。しかし、しばらく我慢していれば、人情が生まれ、やがてその子との間に切っても切れない愛情が芽生えるものです。

乳母は、徳川三代将軍の乳母であった春日局や、（＊伽羅）『先代萩』の政岡のことを思い出すとよいでしょう。

身体は常に清潔に保ち、食事に気を付け、生母の指示を守りながら、役立つ書物を読み、または読んでもらうことも大切です。