23.牛乳の選び方

投稿日 : 2024.10.16


牛乳を選ぶことは素人には普通難しいものです。しかし、小児を牛乳で育てようと思う人は一通り知っておきましょう。

牛乳を出す牛は、広くて清潔な牧場で飼われ、餌は枯草、藁、豆類、麦類をよく食べた健康な牛で、1頭だけから絞ったものはよくありません。知らぬ間に病気にかかっていたりすると大いに危険です。だから多数の健康な牛の乳を混ぜればかえって危険が少なくなります。

牝牛にたくさんの青草を食べさせると乳はよく出るのですが、小児の胃腸を損なうことがあります。酪農家は利益を得るために安い青草を多く与えて乳を大量に出そうと思うものです。牛にもいろいろな病気があり、特に結核にかかった牛がとても多いそうです。

搾乳場や搾乳の道具は十分清潔であるべきです。私はある搾乳者の子供が赤痢になったとき、その便などが搾乳道具の傍に散在していたのを見てとても驚きました。昨今は役所の監督が行き届いてきたようですから、このような危険は少し減っているだろうと思います。

牛乳のよし悪しは素人には判断が難しいものですが、一応説明しておきます。

牛乳は白くて甘みは母乳より少なく、一滴を指の爪にたらせば半球になるのはいいもので、流れてしまうものはよくありません。また、水を盃に入れて数滴おとすしたときに下に沈む傾向のあるものは良くて、すぐに拡散するのはよくありません。

牛乳に水を混ぜたり、油を混ぜたりして売られることがあります。牛乳の比重は1.03から1.035ぐらいですが、それより低い場合は水分が多いのです。

また米汁を混ぜることがあります。これはヨードチンキを1滴たらせば紫色になってわかります。

また、サリチル酸を混ぜて売るものもあります。これには一半コロール鉄液(*50%過クロール鉄)を落とせば赤紫色になります。特に一度煮たあとに調べるともっとよくわかります。

腐った香りがするか、酸味があるかは青色試験紙(*リトマス試験紙)をいれて著しく赤くなるのはよくありません。牛乳の品質の判定は難しいので、少しでも変だと思うと飲ませず、新しいものを探しましょう。

ご婦人たちによくあることですが、ちょっと悪い牛乳ではと思っても、牛乳屋が持ってきたのでからいいだろうと思って飲ませたり、残った牛乳を飲ませたりして、小児の胃腸を損なうことがまま起こります。