26.離乳と離乳食
投稿日 : 2024.10.16
小児が乳を離す時期は最も注意を払う必要があります。
西洋では普通8か月から12か月で離乳させます。日本ではもっと長く乳を飲ませて徐々に離す習慣があります。これはとてもいいことで、12歳までの子の死亡が西洋より少ないのはこのためだという説があます。
しかし、あまりに長く飲ませるのは母子共によくないことです。1歳ぐらいではまず牛乳、スープ、粥を食べさせて、少しずつスープとか牛乳で粥を煮て、終わりのころには半熟卵や、鰈のような軽い魚肉などを副食とします。
そうして少しずつ胃腸を慣らし、満2歳から3歳の間に完全に母乳をやめましょう。どうしてかというと、この年頃ともなると歯も生えていて、食べ物を嚙ことができますし、俗に子供を甘やかすという悪い癖がつくだけで、いいことがありません。
離乳前後には牛乳がいいのですが、ただし離乳は夏場を避けましょう。というのは、夏は胃腸病が起きやすいからです。
子供によっては長く母乳が必要な場合もあります。また、不幸にして母から離れたり、ほかの事情で急に母乳が途切れたりする場合には、年齢に応じて十分に食物の注意が要ります。もしその注意を怠り、不消化な食物を食べさせると、俗に脾肝という恐ろしい胃腸病の様々を起こして骨と皮になってしまうことがあります。
離乳後の小児はよく食べるものです。これは小児の発育に必要なことで、大人のように身体を維持するだけでなく、日々発育するためなので大人に比べて多量の食糧が必要なのです。だから小児は数度の食事が必要です、ただ、大人の様に胃腸が丈夫ではありませんので、一度にたくさん食べさせたり、消化の悪いものを食べさせたりしないようにしましょう。すべて柔らかく、液体状のものを少量、時や回数を決めて食べさせましょう。
小児のおやつは食事の一回分と思うといいのです。十分注意ながら消化が良くて滋養のあるものを選びましょう。よくあることですが、母親や付き添いのものが不潔な口で食物を噛み砕いて小児に食べさせるのは非常によくないことです。また小児に大人と同じものを食べさせるのはよくありません。どうしても消化の悪いものも欲しがりますから、別にしましょう。
また食事はゆっくり十分よくかませて、食後には口をきれいに洗う習慣をつけましょう。小児の病気の半分は食べ物の不注意によりますから、父母や保護者は食べ物に十分注意する必要があります。
乳児の胃腸は非常に弱いので、乳が少し変化してもすぐに胃腸を損ないます。満2歳になれば胃腸は少し強くなります。しかし、なお過敏で刺激に感じやすいだけでなく、咀嚼が十分でないので、食物はおかゆのような柔らかいものにしましょう。
3歳から6歳となるにしたがって消化器も丈夫になりますが、硬かったり繊維質は多かったり、糖分が多いもの、酒やコーヒー、茶などは決して与えてはいけません。この年齢では動物性のもの、つまり牛乳、スープ、鶏卵、魚肉類を、穀類や野菜類より多くしましょう。植物性の食物を好む習慣がある場合には腺病質になる傾向があるからです。
満7歳以上になればようやく大人と同程度の消化力を持つようになります。さらに11歳~12歳ごろからの思春期では、大人以上の消化力を持つことがあります。特に女子は男子よりその傾向があります。このころには体重が急に増え食物や栄養を取るのは、身体がそれだけ自然に要求するためです。
食物はいろいろありますが、調理の仕方により消化が悪いものもよくできますものは決して食べさせないように。
2歳から6歳までの小児に食べさせていいものと悪いものの例をあげておきます。
望ましいもの:牛乳、おかゆ、麦粉、葛湯、粥、米飯、うどん、パン、半熟卵、軽い魚(鯛、ヒラメ、鮎)、脂肪の少なく細かく砕いて柔らかにした鶏肉や牛肉。豚肉、豆腐、味噌汁、柔らかいニンジン、ゆり根、ジャガイモ、大根、かぶら、自然薯、ツクイモ、ホウレンソウ、軟らかな野菜。
望ましくないもの:硬くて脂肪の多い鳥獣肉、油の強い魚類(ウナギ、マグロ、イワシ、タコ、エビの類、貝類、かまぼこ、豆類、タケノコ、いり豆、豆ごはん、漬物、キノコ類、するめの類、昆布類、酒類、茶、コーヒー、香料、山椒、胡椒の類、
おやつ:水あめ、良質のビスケット、カステラ、ぼうろ、オカキなどせんべい類、少量の良く熟した果物。ただ、甘い菓子類、餅、赤飯、脂肪の多い西洋菓子、熟さない果物は与えないように。
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