31.小児が急病になったときの心得

投稿日 : 2024.10.16


1)ひきつけを起こしたとき

小児はよくひきつけを起こします。これにはいろいろありますが、まず、普通は手足が硬直して頭を後ろに曲げ、口を閉じ、眼球を上や横を見つめるものです。

多くは突然起きますので、父母や保護者は大慌てをするものです。重要なことは、まず冷静になって、医者に連絡するとともに、間に合わせの救急療法を施すことです。

まず初めに衣服を緩め、冷水を顔や胸に吹き付けたり、足にからしを張ったりしましょう。

高熱なら氷嚢を頭にのせて、さらに胸には氷水で冷やした湿布を施します。また、便が出ないときは浣腸を、換気の悪い部屋では窓を開けて医者を持ち待ちましょう。

慌ててよくわからない薬などを飲ませないように。ひきつけは多くは、急に発熱したときや、胃腸の病気や脳の問題で起こります。

2)息が苦しくなったとき

小児は夜間に突然息が苦しくなって窒息しそうになって両親を驚かす場合があります。

この多くは気温が急変し喉に腫れができるためで、仮性コロップといって、犬の遠吠えのような咳をして息がし難くなります。

この時は医者を呼ぶ必要がありますが、寒いときにはまず部屋で鍋などで湯気を出させ、部屋の空気を暖かくして湿らせましょう。また、首に暖かい湿布を巻、吸入器があれば100倍ぐらいに薄めた食塩水で吸入させましょう。

静かに着物を緩めて身体を斜めに抱いて、息をしやすいようにしましょう。

3)怪我

怪我でひどく出血したときは、まずきれいな白木綿(ガーゼ)を使って止血しましょう。頭を打撲したときは、寝かして安静にし、冷やして医者を呼びましょう。

4)急に発が出たとき

まず頭を冷やして、医師を呼びましょう。そうしないと、痙攣をおこすことがあります。

5)異物を飲み込んだとき

小児はおもちゃを飲み込むことがよくあります。もし、喉に詰まったときは、すぐに指を入れて取り出しましょう。もし、飲んでしまったときは、医者の診断を受け、下剤は使わないように、どうしかというと、大便ばかりが出て、飲み込んだものが残ってしまうことがあるからです。

6)水に溺れたとき

子供は水に溺れることがありますが、この時は女性が助けるのは難しいものです。

育児者が救急法を心得ることは役に立つので述べておきます。

救助する人はなるべく裸になって溺れた子に抱き付かれないようにする必要があります。

水から引き上げると手で口や喉に入った砂や泥を取り除きましょう。そして上半身を裸にして腹を下にし、衣服を枕にして腹の下に入れ、手を額の下に置いて口を地に着かせます。

2~3回約3秒間背中側から肋骨の下の方を圧して、飲み込んだ水を吐かせましょう。

今度は身体をひっくり返してすぐに人工呼吸を行わなくてはなりません。もちろん一方では医者を呼んで毛布や乾いた服を用意しておいて、呼吸が戻れば身体をこすって温め、毛布にくるんで寝床に入れましょう。

人工呼吸とは、仮死状態の人に施す救命報法で、まず衣服を取り、身体を伸ばして上向きにして、衣服などを巻いて枕状のものを作り、腰の部分に入れて胃のあたりを少し高くなるようにします。

介護者は指を布で巻いてその人の舌を挟み、口から右下方向に引き出します。もう一人は腰の部分にまたがって膝まつき、両手を拡げて、手のひらで左右の乳房の下、つまり肋骨の最下部の下前方向に強く押し付け、肺から空気を押し出しましょう。

大体2~3秒圧して、すぐに手を離し、およそ3秒経ってまた押し付ける作業を続けます。そして一分間におよそ10回繰り返します。

少し呼吸が戻るようであれば、試しにその作業を止めて観察しましょう。しかし、深い息をしなければ、すぐに作業を再開しなくてはなりません。

その間冷水を心臓の上あたりに、つまり左の乳房の下あたりに注いで、または刷毛で咽頭をくすぶるとか、アンモニア水を嗅がすとか、葡萄酒を与えてもよろしい。

寄生虫のこと

小児の胃腸にはよく寄生虫がわきます。寄生虫はいろいろありますが、最も多いのは回虫です。大抵は1~2匹ですが、時としてたくさんいて腹痛や吐き気がでることがあります。

私は6歳の子で一週間に86匹を排泄した例をみました。そのために、時々虫下しを飲ませるのもいいことです。