１７．母乳を避けるべき場合

母親が自分の子に母乳を与えられないことは非常に悲しいことです。それには主に次のような場合があります。

1）母乳が出ない場合
2）母乳は出るが、乳児の発育が悪くて飲めない場合
3）母親が虚弱であったり、貧血や梅毒、結核、脚気などの重い病気を患っている場合
4）乳頭の形状が悪かったり、乳房に病気がある場合
5）乳児が健康でも、母乳が出過ぎて母親が衰弱している場合
6）母親が再妊娠している場合

また、離婚などの家庭の事情により、授乳ができなくなる場合も多々あります。

さらに、最近の社会では、さまざまな理由から、中流以上の女性（特に「奥様」）が体が弱く、精神的に過敏であるため、子供に自分の母乳を与えないという悲しいケースも見受けられます。この原因は複数あると思われますが、いずれにせよ、「奥様」と呼ばれる女性はどうしても身体が弱そうに見えます。おそらく、運動や肉体的な労働が少ないためだと考えられます。下女を減らし、自分で掃除をするなど、日常的に体を動かすことが重要です。

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この明治時代の育児書には、当時の社会的背景や医学的な理解が反映されています。現代の医学的見地から見て、いくつかの点についてコメントを加え、当時と現代の違いについても触れます。

1. 母乳が出ない場合
母乳が出ない原因にはさまざまなものが考えられます。現代医学では、ホルモンバランスの問題や、ストレス、過度の疲労などが母乳の分泌に影響を与えることが知られています。適切な支援を受けることで、母乳分泌を促進できる場合もあります。必要に応じて、母乳外来や医師のアドバイスを受けることが推奨されます。

2. 乳児の発育が悪くて飲めない場合
乳児が十分に母乳を飲まない、または飲んでも発育が悪い場合、現代では発育不良の原因を詳細に調査します。例えば、乳児が口蓋裂や舌 tie（舌小帯短縮症）を持っている場合、授乳が難しくなることがあります。医学的な診断と適切なケアが重要です。

3. 母親が虚弱である、または重病にかかっている場合
現代では、母親の病状に応じて授乳方法を調整することが一般的です。貧血や病気がある場合でも、医師と相談し、必要に応じて母乳を与えるか、代替ミルクを使用するなどの対応が取られます。例えば、結核や梅毒のような感染症の疑いがある場合は、母乳による感染拡大を防ぐため、授乳を避けることが推奨されます。

4. 乳頭の形状が悪かったり、乳房に病気がある場合
乳頭の形状や乳房に問題がある場合、現代では専用の授乳補助器具（乳頭保護器など）や、授乳方法を工夫することで解決できます。また、乳房に疾患がある場合（例えば乳腺炎など）、早期の治療と適切な対策が重要です。

5. 母乳が出過ぎて母親が衰弱している場合
現代では、「過剰分泌症候群」のような状態も認識されています。母乳の過剰分泌によって母親が身体的に疲弊することがあります。必要に応じて授乳の頻度や時間を調整したり、乳腺マッサージや冷却療法を行ったりすることで管理できます。

6. 母親が再妊娠している場合
再妊娠によって授乳が難しくなることがありますが、現代では授乳と妊娠を両立する方法も確立されています。妊娠中でも授乳を続けることができる場合もありますが、体調や医師の指導に基づいて調整が必要です。

7. 社会的要因（体力不足や精神的過敏）
「中流以上の女性」が体力不足や精神的に過敏であるという記述について、現代では、ライフスタイルやストレスの管理が重要視されています。過度なストレスや不安は授乳に影響を与えることがあるため、現代では心身の健康が育児においても大切だと認識されています。また、現代では女性が仕事をしていることが一般的になり、育児と仕事のバランスが問題視されていますが、これにはサポートが重要です。

現代の注意点
現代の育児においては、栄養と健康管理が非常に重要です。授乳がうまくいかない場合、無理に母乳を与え続けることは母子ともに負担になる可能性があります。代替ミルクの利用や、必要に応じて専門家のサポートを受けることが推奨されます。また、精神的健康を保つための支援や、身体的な負担を減らすための社会的サポートも重要です。

まとめ

当時と現代の違いは、医学的知識や育児のサポート体制の進化にあります。現代では、母乳育児が難しい場合に代替策を取ることが一般的で、母親の心身の健康も十分に配慮されています。育児における支援がより広範囲に提供され、個別の事情に応じた柔軟な対応が求められています。

ここが適切な場所とは限りませんが、「育児のサポート体制」の現状についての問答は次のページにあります。