23.牛乳の選び方

投稿日 : 2025.03.05


牛乳を選ぶことは素人には難しいものです。しかし、小児を牛乳で育てようと思う人は、一通りの知識を持っておくべきです。

牛乳を出す牛は、広くて清潔な牧場で飼われ、餌としては乾草や藁、豆類、麦類をよく食べた健康な牛が理想です。1頭だけから搾った牛乳は好ましくありません。知らぬ間に病気にかかっていた場合、大きな危険を伴います。そのため、複数の健康な牛の乳を混ぜた方が、逆にリスクが少なくなります。

牝牛にたくさんの青草を食べさせると、乳がよく出るものの、小児の胃腸に悪影響を与えることがあります。酪農家は利益を上げるために、安価な青草を大量に与えて乳を増やそうとすることがよくあります。牛にもさまざまな病気があり、特に結核にかかる牛が多いことが知られています。

搾乳場や搾乳器具は十分に清潔でなければなりません。私はある搾乳者の子供が赤痢にかかった際、その便が搾乳道具の近くに散乱していたのを見て、非常に驚きました。最近では、役所の監督が行き届いてきたため、このような危険は少し減っていると思われます。

牛乳の良し悪しを素人が判断するのは難しいですが、一応以下のポイントを押さえておきましょう。

牛乳は白く、甘みが母乳より少なく、一滴を指の爪に垂らすと半球を形成するのが良いとされています。流れてしまうようなものは良くありません。また、水を盃に入れて数滴落とすと、下に沈む傾向があるものは良質とされ、すぐに拡散するものは避けた方が良いです。

牛乳に水や油を混ぜて販売されることがあります。牛乳の比重は1.03〜1.035程度ですが、それより低い場合は水分が多く含まれている可能性があります。

また、米汁を混ぜる場合もあります。これは、ヨードチンキを1滴垂らすと紫色に変わるため、簡単に見分けることができます。

さらに、サリチル酸が混入されていることもあります。この場合、一度クロール鉄液(50%過クロール鉄)を垂らすと赤紫色になります。特に、一度牛乳を煮沸した後に調べると、さらに分かりやすくなります。

腐った香りがする、または酸味がある場合は、青色試験紙(リトマス試験紙)を入れて赤く変化する場合、品質が悪いことが分かります。牛乳の品質を判断するのは難しいため、少しでも疑わしいと思った場合は飲ませず、なるべく新鮮なものを選びましょう。

特にご婦人方に多いのですが、少し悪いと思う牛乳でも、牛乳屋が持ってきたものだから大丈夫だろうと考えて飲ませたり、残り物を使って小児の胃腸を傷めてしまうことがあります。このようなことが起こらないように注意しましょう。

ChatGPT:

この内容は、明治時代の当時の牛乳の品質や安全性についての懸念を示しており、その背景には当時の衛生状態や科学技術の発展の制限があることが分かります。現代の医学的な観点から、いくつかのポイントについてコメントできます。

1. 牛乳の品質管理と衛生
当時、搾乳や保存、流通の衛生状態が不十分だったため、牛乳が感染症や病気を媒介するリスクが高かったことは理解できます。現代では、乳製品の品質は厳しく管理されており、乳牛の健康チェック、搾乳設備の衛生管理、そして牛乳の冷却などが徹底されています。特に、結核などの病気に対するリスクは、牛の健康管理とワクチン接種により大きく低減しています。

2. 乳牛の飼育環境
育児書では、牛が広く清潔な牧場で育つことを推奨していますが、これは現代の畜産業でも重要な要素です。現在では、牛の飼育環境や餌(乾草や豆類、麦類など)が重要視され、牛の健康を守るために適切な飼育が行われています。

3. 牛乳の品質
育児書に記載されている牛乳の品質に関する基準(白くて、甘みが少なく、半球を形成する)については、現代の科学的な検証を経て、牛乳の品質は物理的・化学的なテストによって評価されています。例えば、脂肪分やタンパク質の含有量、細菌数などが定期的にチェックされています。現在では、牛乳の「新鮮さ」や「質」は、時間の経過や保存方法によって重要な指標となります。

4. 牛乳の不正混入物
育児書は、牛乳に水分や他の成分(米汁、サリチル酸、ヨードチンキなど)を混入する行為について言及していますが、これは当時の不正行為であり、現代では衛生管理が進んでいるため、牛乳の品質や成分が不正に改ざんされることはほとんどありません。現代では、食品業界の規制や監視が強化され、品質基準が厳格に設けられています。

5. 牛乳の消費と小児の健康
育児書では、悪質な牛乳が小児の健康に悪影響を及ぼす可能性について警告していますが、現代の栄養学的知見では、乳製品は非常に重要な栄養源として位置付けられています。特に、母乳に近い栄養成分を持つ調整乳や粉ミルクは、小児の発育に不可欠な栄養素を供給します。しかし、現在の牛乳には、乳糖不耐症やアレルギー反応に配慮した製品もあり、個々の子どもの健康状態に合わせて選択することができます。

6. 清潔さと衛生
搾乳道具や搾乳場の清潔さが強調されていますが、現代の乳業では、これらの衛生管理が非常に厳密に行われています。例えば、工場での殺菌処理や、衛生的な搾乳設備、温度管理などが標準化されており、牛乳が消費者の元に届くまでの過程で衛生面が厳格に守られています。

まとめ
明治時代の育児書では、当時の限られた知識と技術の中で、牛乳の品質管理と消費に対する懸念が示されています。現代においては、衛生管理や品質チェックが格段に進んでおり、牛乳は多くの科学的な基準を満たしています。現代の医学的観点からは、牛乳は栄養価の高い食品であり、適切に加工されたものを摂取すれば、小児にも安心して供給できます。しかし、アレルギーや乳糖不耐症など個々の体調に応じて適切な牛乳製品を選ぶことは、依然として大切です。