４０．脳と神経

小児の神経系（脳やその他の神経）の重さは、体重に対して非常に大きな割合を占めています。脳だけでも、体重を100とした場合、約13～14％にあたります。

また、その発育も非常に急速で、一年後にはすでに大人の脳の半分ほどの重さに達します。

小児の脳や脊髄、その他の神経は、大人に比べて水分と血液の割合が多いため、非常に敏感で病気にかかりやすく、よくけいれんを起こします。そのため、脳の病気にかかりやすい傾向があります。

感覚の発達については、新生児は感度が低いですが、5か月から11か月ごろに最も感度が高まります。したがって、五感に対する強い刺激は、注意して避ける必要があります。アルコールやコーヒーなどは脳に悪影響を与えるため、小児には摂取させないようにしましょう。

視覚

新生児は光に対して眩しがることがありますが、生後3週間を過ぎると、瞼を閉じずに光を見ることができるようになります。第4週目には、光の動きに合わせて眼を動かすようになります。新生児は近視傾向にあり、6か月ごろから視力が普通になります。しかし、就学後には悪い環境が影響し、近視が進行することがあります。生後3週間までは薄暗い部屋に置き、少しずつ日光に慣れさせることが大切です。また、目の訓練として、いろいろな形や色の物を見せて教えましょう。

聴覚

新生児は分娩後、1時間から1～2日の間は音を聞こえないことがあります。その後は急速に発育し、7～8週頃には音のする方向に頭を向けるようになります。小児は大きな音に驚いて不快感を感じ、すぐに泣き出すことがあります。ひきつけを起こすこともあるため、静かな環境を整えることが大切です。特に病気中は、静かにしてあげることが重要です。

聴覚は、歌を聞いたり、音楽を聴いたりすることで発達します。触覚、味覚、臭覚については、最初から備わっています。このように、小児の五感は初めは不十分ですが、身体の成長と外的な刺激によって次第に鋭敏になり、最終的には非常に複雑な心の働きを脳が行うようになります。

知恵の発達は、個々の小児によって多少異なりますが、ジークムント・フロイト（1856年）が提唱した精神性的発達段階を示した以下の表を参考にすることができます。

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この内容は、明治時代における小児の神経系や感覚の発達に対する理解に基づいていますが、現代の医学的見地から見ると、いくつかの点について追加の視点を提供できます。

神経系の発達
明治時代の記述では、小児の脳や神経が非常に発達が早く、大人に比べて敏感であるとされています。これは現代の神経科学と一致しており、特に新生児期や乳児期の脳は急速に発展します。特に神経系の重さが体重の13-14％を占めるという点は、現代でもその重要性が認識されています。実際に、赤ちゃんの脳は非常に早い段階で神経細胞の成長とつながりを形成し、学習や感覚処理の基盤を作るため、外的刺激に非常に敏感です。

神経系の敏感さ
「神経系が非常に敏感で病気にかかりやすく、よくけいれんを起こす」との記述に関しても現代医学において理解されています。新生児や乳児は未熟な神経系を持っているため、特にけいれんやてんかん発作を起こしやすいことがわかっています。現代ではこれらの症状が発生した場合、迅速な診断と治療が重視されています。

感覚の発達
新生児が感覚的に敏感であり、5か月から11か月に感覚が高まるという記述について、現代の発達心理学では、確かに感覚器官は初めから備わっており、時間とともに刺激に応じて発達していくと考えられています。視覚や聴覚は、周囲の環境や刺激によって鍛えられ、発達していきます。

ただし、視覚の発達に関する部分は若干誤解を招く表現があります。現代の研究では、新生児の視力は非常に弱いですが、時間が経つにつれて遠近感や細部を識別する能力が急速に発達します。特に「生後3週間までは薄暗い部屋に置く」との記述ですが、実際には赤ちゃんは明るい光を眩しく感じることがあるものの、自然光や日光を避ける必要はありません。日光を適度に浴びることは、健康的な視覚の発達に重要です。

聴覚の発達
「新生児は音を聞こえないことがある」という記述は、現代の医学においては誤解を招く恐れがあります。新生児は生まれた時点で聴覚が完全に発達しているわけではないものの、音を感知する能力はすぐに現れ、発達します。多くの研究により、生後数時間内に音に反応することが示されています。現代では、新生児聴力検査を行うことで、早期に聴覚障害を検出し、適切な支援を提供することができます。

五感の刺激
五感に対する強い刺激についての警告は、現代でも一定の理解が得られます。特に新生児や乳児期は、刺激に対して過敏であるため、過剰な音や光、匂いなどが赤ちゃんにとって不快やストレスの原因になる可能性があります。しかし、過度に「避ける」べきというよりは、赤ちゃんの感覚が発達するペースに合わせた適度な刺激を与えることが重要です。

精神発達とジークムント・フロイトの理論
フロイトの精神発達理論は当時の育児書では重要な指針だったと思われますが、現代の発達心理学では、フロイトの理論は一部過度に重視されている部分があるとされています。特にフロイトが提唱した「精神的発達段階」は、発達の多様性を十分に考慮したものではなく、現代ではより広範囲で多角的な理論が支持されています。たとえば、エリクソンの心理社会的発達理論など、発達の影響を社会的・文化的背景と結びつけた理論が進んでいます。

総じて、明治時代の育児書は、当時の医学と心理学の知識に基づいた貴重な資料ですが、現代の医学ではさらなる精緻な知見と理解が得られています。現代の育児においては、赤ちゃんの感覚や脳の発達をサポートするために、より科学的なアプローチが行われています。

子供の感受性についての問答は次のページにあります。