付録３　妊娠中の養生

妊娠は自然なものですが、同時に病気が起こりやすいため、十分な養生が必要です。

妊娠中は、日常生活を急激に変えることは良くありませんが、不衛生な環境は改める必要があります。運動や仕事は適度に行うべきですが、過度にならないようにしましょう。重い物を持ったり、険しい山に登ったり、長時間悪路を歩いたり、長時間の鉄道や車の旅行、跳んだり走ったりすることは避けるべきです。

二階の階段の上り下りは慎重に行い、寝転がりっぱなしで運動をしないことも避けましょう。毎日新鮮な空気を吸い、郊外で散歩することが非常に望ましいです。

心を常に快活に保ち、悲しみや驚き、怒りなどの強い刺激を避けるようにしましょう。また、激しい話や絵画、小説、浄瑠璃なども避けることが望ましいです。

睡眠不足は良くないので、夜は十分に安眠をとりましょう。性交渉は控えるべきです。妊娠中は心身ともに平穏を保つことが大切です。

昔の中国では、胎教として、妊娠中に賢い子供を育てるために、金言や英雄の活躍を教えたり、その肖像を掲げたりしました。

周の文王の母は、文王を妊娠した時、悪いものを見ず、淫らな音を聞かず、無駄に喋らず、文王という名前を聞くだけで100のことを理解できるような賢い子を育て、最終的には周の皇帝となったと伝えられています。楠公も神聖な胎教を受けていたことは明らかです。

新鮮な空気は妊婦にとって非常に重要です。酸素が豊富な場所は、妊婦だけでなく胎児にも必要です。そのため、換気の悪い部屋や人が多く集まる場所（寄席や劇場など）は避けるべきです。

部屋の換気に注意し、閉め切った暖炉や火鉢のある部屋に長時間閉じ込められないようにしましょう。

身体、住居、衣服、食事についても注意を払いましょう。特に腰や下腹部を暖かく保つことが重要です。

入浴は快適ですが、海水浴や冷水浴は避けるべきです。

食事は普段通りで構いませんが、食べ過ぎや消化に悪い食べ物を避け、胃腸に負担をかけないようにしましょう。アルコールや香料は避けるべきです。

乳房は毎日冷水や温水で周りを洗い、拭いた後は暖かく保ちましょう。初産婦で乳頭が小さくて授乳しにくい場合は、乳頭を引き伸ばすようにしましょう。乳頭が敏感で痛む場合は、アルコールで消毒し、皮膚が固い場合は油を塗りましょう。

妊娠1ヶ月頃に気分が悪くなったり、吐き気を感じたり、食べ物の好みが変わることがあります。これを「悪阻」と呼び、個人差があります。軽度の場合は問題ありませんが、非常に激しい場合は医師の診察を受けるべきです。食後は体を動かさず、少量の食事を何回かに分けて摂取しましょう。

妊娠中は、妊婦はもちろん、家族全員が気をつけて、穏やかで楽しい環境を作ることが大切です。特に夫は妊婦の苦労を理解し、すべての面で配慮を欠かさないようにしましょう。

ChatGPT：

この内容は、当時の医学的知識に基づいた妊娠に関するアドバイスが反映されていますが、現代の医学的見地からいくつかのポイントについてコメントができます。

妊娠中の運動について
妊娠中に過度な運動や重い物を持つことが避けられるべきという点は、現代医学でも共通しています。ただし、適度な運動が健康に良いとされています。軽いウォーキングやヨガなど、妊婦向けに推奨される運動も多くあります。特に、妊娠高血圧や糖尿病の予防には運動が有効です。重要なのは無理をせず、自分の体調に合わせた運動を行うことです。

精神的な健康
心の健康を大切にするという点（強い感情やストレスを避けること）は現代の心理学でも非常に重要とされています。ストレスは妊婦の健康や胎児の発育に影響を与えることがあるため、リラックスした環境作りが推奨されます。妊婦のためのカウンセリングやリラクゼーション技法（例えば、深呼吸や瞑想など）が有効とされています。

食事とアルコール
食べ過ぎや消化に悪い食べ物を避け、アルコールを控えるべきというアドバイスも現代医学でも重要です。妊娠中のアルコール摂取は胎児に影響を与える可能性があり、特にアルコール性胎児症候群（FAS）などが懸念されています。また、カフェインの摂取制限も推奨されており、妊婦は健康的な食生活を心がけることが重要です。

胎教について
胎教に関して、昔の中国で賢い子供を育てるために知識や文化的な教育を行うという考えは興味深いですが、現代の研究では、胎児の認知や知能は主に遺伝と環境要因によって影響されるとされています。音楽や言葉を通じて母親と胎児がコミュニケーションを取ることは、リラックスや感情の安定には良い影響を与えるかもしれませんが、過度な期待をかけることは避けるべきです。

睡眠と安静
妊娠中の十分な睡眠が必要だという点については、現代でも非常に重要とされています。妊娠中はホルモンバランスや身体的な変化により、睡眠の質が低下しやすくなるため、快適な睡眠環境を整えることが推奨されます。

乳房ケア
乳房ケアに関するアドバイス（乳頭を引き伸ばす、アルコールで消毒するなど）は現代のアドバイスと比べると、やや古風な方法と言えます。現代の医学では、乳頭が痛む場合、無理に引き伸ばさず、保湿クリームや授乳前後のケア（例えば、乳頭クリームを使用）を推奨することが多いです。また、アルコールで消毒することは推奨されず、むしろ乳房を優しくケアすることが重要です。

悪阻（つわり）
妊娠初期の悪阻（つわり）は、個人差がありますが、現代医学では多くの場合、軽度な悪阻は自然に回復することが多いとされています。激しい悪阻が続く場合、医師の助けを求めることが大切です。つわりを軽減するための薬物療法や食事療法が存在するため、症状に応じた治療が推奨されています。

住環境と換気
新鮮な空気が妊婦にとって重要という点については現代医学でも重要視されています。室内の換気を良好に保つことは、妊婦だけでなく全ての人にとって重要であり、特に冬季などは乾燥や暖房による空気の質が悪化するため、適切な換気が求められます。

まとめ

当時のアドバイスには多くの現代の医学的知見が反映されており、妊婦の健康を守るための配慮が見受けられますが、一部の具体的な方法（例えば、乳頭ケアや胎教など）については現代の医学ではやや異なるアプローチが取られていることがわかります。それでも、全体的に妊婦と胎児の健康に対する思いやりのあるアドバイスがなされている点は評価できます。