6 青く見える発光

投稿日 : 2021.06.11


心拍が止まってからしばらくして、最初に発光が見え始める部位でもっとも多いのは、次の図のような角状管の付け根の付近に見える球状の組織です。最初はこのように数は少ないのですが、次第にその周りに広がり、発光がみえる時期は決してイルミネーションのスイッチを入れて一斉に点るようなものではありませんでした。この現象は最盛期のアブラムシのコロニーの太っちょの個体に多く見られます。

一方、まだ若くて体が小さい個体や後期の胚では、最初からからだ全体がこの写真と同じような色に染まる感じになります。また羽が出始めていたり、羽を持った個体では、首とか羽根の付け根あたりが発光し始めます。d93b4fc60cfe413631fc8f661ff78888748a2000.jpg

次の図は、上の図の青く見える2個の部位のスペクトルです。dd8e28334da492db267b1816a48c4bbfe3a583a3.jpg

また、次のグラフは上のスペクトルの2本の白い水平の線の間の領域の強度を波長ごとに平均したスペクトルです。20021-4-26-17-40-spectrum2-3.jpg

横軸は波長(nm)です。太い丸印は元のデータを移動平均によって滑らかなにしたものです。グラフの下に示したスペクトルは、5年前に記録したものです。当時は横軸を波長に換算することができませんでしたが、今回のスペクトルと比べると発光スペクトルの構造が概ね一致しているのがわかります。

発光帯の4つの構造のピークの波長(光子エネルギーeV)は、おおよそ、485nm(2.56eV)、520nm(2.38eV )、540nm(2.30eV )、570nm( 2.18eV)でした。ピークエネルギーの間隔は100~200meVでした。

次のグラフは横軸を光子エネルギーに換算したものです。有機物の場合は波数で表すことが多いですが、大きな値になるのでここでは物理の分野で使うエネルギーの単位で示しました。

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