8-a  ベクトル・ポテンシャル

投稿日 : 2021.07.06


電場Eと磁束密度Bは次の2種類のポテンシャルによって生まれると考えることができます。equation(2).jpgbb8e62d5c0b08ebcfcc126e238a09edd1a6039f7.jpg

ここで、Φはスカラーポテンシャル、Aはベクトル・ポテンシャルと呼ばれます。このポテンシャルによって、電荷や電流に力が働くわけです。重力ポテンシャルのある空間に質量があれば、その物体に重力が働くのと同じ考え方です。後で述べる相対性原理と矛盾しないために、φとは勝手に決められず、それらには次の関係があります。 

7679e771088c5ff83a9ad1fba92c85f05d8e1735.jpgベクトル・ポテンシャルはなかなか分かりに量ですが、次のように考えればいいのではないでしょうか。289aaff744cb3b7f9ec54d329f0c83ed7b14ebb8.jpg

バスタブの排水口の栓を抜いて水を抜きますと、上の絵の左側のように排水口の周りに渦ができます。水が抜ける様子をオレンジ色で示し、水の流れる速度をVとします。流体力学では、流体が回転しようとする傾向を示す量Ωは渦度(Vorticity)呼ばれ、絵の下のような数式で表されます。

右側の図は、電線に電流 i が流れるとその周りにベクトル・ポテンシャルAが生まれ、それによって磁場Bが発生する様子です。もし、その磁場を別の電線の電流(動く電荷)が感じると、その電荷(電流)に力が働くわけです。

ベクトル・ポテンシャルについてのマックスウェルの考え方は、電子情報通信学会誌83巻、2000年12月号の906ページに掲載された、外村彰(1942-2012)『電子波で見る電磁界分布 【 ベクトル・ポテンシャルを感じる電子波  】』で興味深く説明されています。