選挙はウクライナに対するポーランドの態度を変えている - ヴェロニカ・ペーエ

投稿日 : 2023.08.14


ウクライナの戦争は、当初の安易な予想とは裏腹に長期化の様相を呈しています。犠牲者の数も増え続け、戦場は鉄くずの山や不発弾の原になり続き、町も村も廃墟になっていきます。キーウはもちろんモスクワでも、突然空から爆弾が降ってくるような事態です。

短期に終わるという期待は思い込みにすぎません。そのような中で興味深い解説が、今月9日のチェコのサイトで見つかりました。次のURLを開いてウェブ翻訳すると、全文が読めますが、ここで概要を紹介しました。

https://www.novinky.cz/clanek/komentare-komentar-volby-meni-polsky-postoj-vuci-ukrajine-veronika-pehe-40440156

Veronika Pehe氏は歴史家で、チェコの科学アカデミーの現代史研究所に勤務し、このサイトを主宰するNovinkyの広報担当者です。専門は中欧の文化史、記憶について、社会主義後の変革の歴史だそうです。

次は見出しの文章です。

『ポーランドは一般にウクライナの忠実な同盟国とみなされており、100万人以上のウクライナ難民を両手を広げて歓迎してきた。しかし、それは変わり始めている。世論調査では、戦争難民への援助に対する支持が低下していることが指摘されている。一方、ポーランド政府はここ数週間のウクライナの行動の一部に不快感を示している』

そして、この変化は10月に予定されている議会選挙のためとしています。というのは有権者が極右連盟に流れて、与党の脅威となっているからです。

『ワルシャワ大学の研究者らによって最近発表された研究から、ウクライナからの難民への支援は、特に教育を受けていない29歳以下の若い女性の間で急速に減少している。(中略)

彼女たちは、ウクライナ人女性が仕事を得て、結婚市場に圧力をかけているのではないかと懸念している。ロシアの侵略によってポーランドに逃れてきた100万人以上の難民の大多数は女性です』

というのも、『ポーランド社会の一部に蔓延しているインターネットやソーシャルネットワークによって、ウクライナ人女性がポーランド人女性から仕事や男性を奪っているという印象が広まっていることだ。さらに、ウクライナ難民の中に犯罪を犯す人々の数も増加している(犯罪者の最大12%)』

『ウクライナ人がどのレベルの社会的支援を受ける権利があるべきかについては意見が分かれている』

そのため、与党の指導者たちは、『ポーランドの対ウクライナ援助には限界があり、援助を受けたすべての人にたいして何かをお返しすべきだ』と言い出して、

『その「何か」とは、おそらく第二次世界大戦中のヴォリン虐殺に対する謝罪のはずだ。こうして、戦争勃発後に一時的に沈静化したポーランドとウクライナ関係のこの問題点が再び復活した』

『ポーランド市場へのウクライナ産穀物の輸入をめぐる紛争も、ここ数週間緊張を高めている。ウクライナ産穀物の安さは、与党の重要な有権者であるポーランドの農民を怒らせている

『これまでのところ、与党はウクライナ難民に対する感情をさらに煽ろうとはしていないが、選挙戦は容赦ない傾向があり、与党がこのカードに手を伸ばす可能性も排除されない』

戦争が起きると大きな犠牲を被るのは一般の人々です。危機を煽る人々は、難民問題も、もっと危険な問題を生む可能性を自覚しているのでしょうか? 遠国の問題ではなさそうです。