2 最初の驚き

投稿日 : 2021.06.09


アブラムシを顕微鏡で眺めて驚いたことが二つありました。

一つは、心拍数が筆者とそう変わらないことでした。そもそも昆虫の心臓がどうなっているかなんて全く知りませんから、けっこうショックを受けました。「ヨッ! ご同輩」という感じでした。

懸命に植物の汁を吸っているところをいきなりつまみ出され、スライドグラスに載せられ、更にやたら明るい光を当てられるのですから普通の状況ではありません。いきなり拷問室の椅子か、断頭台に座らされたようなものです。

このような状況で測った心拍数は一分間に42、バタバタしている虫では90、中には68という例もありました。これは筆者とそう変わりません。ネットで調べると、昆虫では大体14~150程度だそうです。

アブラムシの解剖図がないかと探しました。でも一般の昆虫の横からみたような図ばかりで、背中側からとか、お腹側から見た図を探しましたが見つけられず、想像して描いてみたのが、次の絵です。f081d8210948d2a31a967fde3a9f301145150b81.jpg

動物は口から肛門につながるパイプみたいなものですので、アブラムシも、細い口から食道を経て胃袋に至る管があり、中腸、後腸、直腸を経て肛門へ至ります。人間にないのは、この消化管から出ているマルピーギ管で、その役割は知識の乏しい筆者にはいまひとつピンときませんでした。

図で赤色で少し太く描いた部分が心臓だそうで、背中側の胴の後ろの方にあります。また心臓の一方の口は大動脈に繋がり、頭の部分の左右にある触覚の付け根に届きます。左右の複眼はそのすぐ後ろにあります。大動脈は脳に血リンパ液を届けているそうで、そのあと、その液は体中に流され、お尻の方にある血管のもう一方の口から心臓へ戻るそうです。この循環系の途中には、複数の気孔に繋がる複雑な構造の肺のような役目をする器官があるそうです。このような循環系は、ドーナッツ型の浮袋の袋の中にストローが浮いているようなもので、そのストローの真ん中に心臓があるという感じでしょうか。数学のトポロジーでは、どのようなタイプの立体に分類できるのかなあと思います。

顕微鏡でみると、頭から最後尾の方へ液体を周期的に移動させているような反復運動が見えます。図の矢印は血リンパ液が流れる方向を示しています。この反復運動は背中側からみるとあまりよく見えないことが多いのですが、おなか側からみるとよく見えます。不思議なのは、時々流れが逆向きになって、後ろから前へ向かうように見えるフェーズがしばらく続くことがあります。しかし、心拍数は変わらないようです。どうなっているのか知りたいものです。

一方、神経系は消化管の下側、つまりお腹側にあるので、図には書いていません。また、足も細くて実に精巧な芸術品です。なお、脚の付け根、特に一番前の一対の脚の付け根には特別な何かがあるように感じました。また、お腹の左右には生殖線があり、角状管もその一部のようです。このシステムも複雑で絵には書いていません。

角状管の付け根あたりに直径が10μほどで、大きさがほぼ同じぐらいの丸い組織が沢山みえる個体があります。これはまるまるした太めの個体には多く、スリムなものや子供にはあまりなく、また5月の末にどこかへ行ってしまう頃の個体では、太めの個体でも数が少ないものが多いように思えました。この丸く見えるものはなんだろう? 大きさから想像して最初に思いつくのは血球です。でも、それなら血流と共に全身に移動しているはずですが、その兆候はありませんでした。もっとも透けて見える細い脚の内部では、これに似た小さな球状のものが動いているのがわかります。

この驚きに続いて二つ目の驚きがありましたが、全く予期できなかったことでした。