3 アレッ、光っている!

投稿日 : 2021.06.09


子供の頃に夏休みの宿題で昆虫採集をやったことがあります。蝶やバッタをエタノールで殺して標本にするわけです。それをちょっと思いだして、消毒用エタノールの心拍数への効果を見てみました。もっともアブラムシにとっては断頭台に座らされて引導を渡されるようなものです。予想通り不整脈が発生して心拍が乱れます。しかし、エタノールは蒸発しますので、またもとに戻ります。

ところがそこで大失敗をしてしまいました。エタノールを一滴を落としてしまって、スライドグラス(丸くへこませてあるタイプのものです)とカバーグラスの間にいるアブラムシをアルコールに浸けてしまったのです。そうなると早速心拍停止です。窒息死か、アルコールによる中毒死かわからなくなってしまいました。ただ、中央政府がやられても地方政府が機能しているので、しばらく脚は動いています。

ちょうど持っていた紫外線を出すLEDの光をあててみました。昆虫は太陽の光の紫外線が地上へ強く降り注いでいる時代から生きてきているので、彼らの視覚が短い波長の光に適応しています。誘蛾灯はそれを利用しています。ですから、ひょっとして強い紫外線に反応するのではないかと思ったのです。しかし、反応も変化もありませんでした。

一時間ほど経ってもう一度照らしてみて仰天しました。今度はアブラムシは美しく神秘的な光を放っていたのです。

アブラムシって光るの? まだ生きていて、まさか蛍に変身?

次の写真は、UV光を当てたとき(左)と、当てながら顕微鏡で姿を見たとき(右)のものです。72db52847241623d777f67de66dc95f71702c047.jpg

まるでエジプトやメソポタミアの古代遺跡で発掘された装飾品のような美しさでした。よく見ると大きさが揃ったものやずっと小さいものもあり、色も様々です。

なにが光っているのだろう? わけをしりたいな、と思いました。

長年分光学を生業としていた癖でしょう、とっさに分光すればわかるかもしれない、と思いました。しかし、自宅でなにができるのでしょう? 

まず分光器がありません。しかも顕微鏡と組み合わせる必要があります。世の中には蛍光顕微鏡や共焦点顕微鏡など高価な装置がいくらでもあります。ナノファインダーⓇという便利な顕微分光装置を筆者は知っています。趣味でクラシックカーを作ったり集めたりできる方もおられますが、残念ながらそんなお金はありません。というより、お金をかけずにガラクタを組み合わせてバラックを作るのが、筆者の趣味なのです。オンボロでもある程度使えるものを作って、本質的な何かが大まかにでもわかればいいなと。

廃棄装置の部品、秋葉原に昔あったジャンクショップで手に入れた小物、家で買い替えた電化製品の部品、古いPCの部品などなど、30年以上前からことあるごとに集めてきた少数精鋭のガラクタたちの出番です。