6-a  補足

投稿日 : 2021.06.23


「モーペルテュイの原理」では、次のSが最小になるように物体は運動します。この積分の()の中は運動エネルギーでした。45b1a66152021429aede60ff7c7530e0ceb734d8.png

運動エネルギーは全エネルギーEからポテンシャルエネルギーUを差し引いたものですから、この積分の中の部分は速度vを equation(32).png とすると、次のように書き直せます。equation(31).png

ここで距離の尺度を適当に変えると、距離も、エネルギーも形が変わるはずで、その量を´を付けて表すことにします。ただ、質量や時間の刻みは変わりません。そうすれば上の関係式は次のようになります。equation(33).pngこの二つの数式でmは共通ですので、両方の式を合体すると、次のようになります。

equation(34).png

長さの尺度だけを変えているので、次の関係は保たれています。36854432fcd56ffff8422c6be18a45e5e902c42a.png 

ここで特にequation(36).png とequation(37).pngという関係式が成り立つ場合をとりあげ、更に、equation(40).png または equation(41).pngという関係があるとします.

そのような特別の場合に限ると、次の関係が得られます。equation(42).png と equation(43).png 

そうすると、この場合、次のようなポテンシャルが導かれます。

equation(44).png

equation(45).pngここで、見やすくするために、エネルギーの基準をずらせて、E=4,E’=-1/4と置けば、U(r)が復元力を生むポテンシャル、U(r')が重力ポテンシャルをあらわすことがわかります。

これは、二つのポテンシャルが見かけ違っても、その違いは私たちがいつも同じ長さの単位を使っているためで、それを適当に決めてよければ、相互に変換が可能な関係にあることがわかります。

このような性質を光学に応用する分野は「Transformation Optics」と呼ばれて研究が行われています。その様子は例えば、次の総説から知ることができます。