3-a 補足

投稿日 : 2021.12.18


簡単な周期ポテンシャルでの電子のエネルギーが82f433a3200621280c5c54468ded23381f39c168.png と表現できることを42で紹介しましたが、その理由をここで補足しておきます。

孤立している原子の電子のシュレーディンガー方程式は、equation(371).png で表されます。

ここで、|i>はi番目の格子点の電子の波動関数、<i|はその複素共役、<|と|>で挟まれた記号は、全空間で積分することを表します。これらは数式を簡潔に表示するための記号で、ブラ|>とケット<|で構成されていますので、ブラケット表記と呼ばれます。左辺は孤立した原子での電子のポテンシャルをvとして、次の意味を表す記号です。equation(372).png

さて、i番目の位置にある原子核の位置(格子点)の電子と最近接の格子点の電子の間の電子相互作用をVとすると、周期ポテンシャルの下でのシュレーディンガー方程式はequation(373).pngと表せます。ここでψは波動方程式の数学的性質から、孤立していたときの色々な格子点での電子状態の重ね合わせとして、equation(388).png  と表現できます。

そこでこれを上の周期ポテンシャルの中の電子のシュレーディンガー方程式に代入して計算すると、equation(376).png  が得られます。

そこで、最近接の格子点だけを考え、equation(389).pngとして整理すると、a0fb39da625e5e2be3f437bfb7d187fc8d156e2c.png が得られます。

なお、42では、equation(377).pngequation(378).png としています。またここではequation(379).pngequation(381).pngとしています。これは周期ポテンシャルの中でも、電子はほとんど格子点の原子の付近で観測されるという仮定を表します。