Jan Holzerの視点(その4):『プーチンの意表を突いた西側諸国』

投稿日 : 2022.05.27


Ruská agrese tedy naznačuje, že se země blíží totalitnímu uvažování.

『ロシアの侵略は、同国が全体主義的な思考に近づいていることを示唆している』

ここ10年以上、世界では民主主義と近代権威主義の戦いが続いていて、互いの権力の正当性を競っている。近代権威主義の側は、もちろんロシアだけでなく、主に中国、ベネゼラ、イランといった中国大陸、中南米、イスラム諸国、ユーラシア国家と地球上の3~4の主要地域に及んでいる。したがって、中露の連携による近代権威主義の概念は、民主主義とイデオロギー的に対比できる。プーチンは欧米に勝つ必要があると、益々イデオロギー的な主張をしている。この近代権威主義のイデオロギーは普遍的な目標や野心を持っている。そのため全体主義体制という概念が復活したが、この30年間は静かだったのである。政治学分野のリベラル派は全体主義は過去のもの、20世紀のものだと信じようとした。

Takže válku na Ukrajině vidíte jako ideologický konflikt Západu s neliberálními režimy?

『ウクライナ戦争を、欧米と非自由主義的な政権との間のイデオロギーの対立と捉えているのですね』

欧米はイデオロギーではなく現実的に対応している。今プーチンが守勢に立っているのは、そのためだ。(*筆者注:今日5月27日の段階では状況が多少変化していそうです)プーチンは西側のイデオロギーは崩壊していて、自国を守れないと確信している。

西側は危険を感じている。ポーランド人はこのことを明らかにしている。その点ではチェコ政府にもそうある。幸いなことに、このことをイギリス人もよく分かっているし、北欧にはよく通じる。2014(*筆者注:ロシアのクリミア併合)からこれまでのメンタリティーに変化が起きた。

Pro Skandinávii jsou podstatná lidská práva, bez diskuze. Ale to neznamená, že jsou naivní a nechápou, že mají za barákem šílence.
『北欧では人権がもっとも重要であると考えられているのは確かである。しかし、自分たちの裏庭に狂人がいることを理解していないほど、世間知らずではない』

Když se vám pod tím barákem občas prožene cizí ponorka…

『もし、エイリアンの潜水艦が時々我が家の下に来たら…』

『そうなのです。北欧は突然、驚くほど現実的になった。それは一般的な予想に反して、というより移民危機(2015年欧州難民危機)の場合とは違って』


Ideologická reakce Západu by vypadala jak?

『西側のイデオロギー的な対応はどのようなものでしょう?』

『プーチンが賭けたのは、ヒューマニズムに基づく対応だと私は思う。怒るけど、何もしない。大惨事、非人道的、全く受け入れられない、理解できない。強い言葉で何か言っても何もしない、と』

Takže to, že Západ sáhl k pragmatičtější linii, Putina zaskočilo.

『だから、欧米がより現実的な路線をとったことが、プーチンを驚かせた』

『そうです、私にはわかります。典型的なのはエネルギー政策。3年前、同僚のマレシュと私は、ロシアの一般的な政治状況は西側の状況に正比例するというテーゼから出発した本を出版しました。今でも、そのテーゼは適切だと思います。

西側が望めば、ロシアはそれに対抗できない。

(筆者注:このフレーズの『西側が望めば、または望んでも』が何を指しているのかがよくわかりませんでした)

もちろん、核衝突の場合は別で、それは致命的です。中国との衝突が起きれば、もっと大変なことになります。

プーチンは、西側が経済的に衰退していくことに賭けています。データの解釈を間違えたのでしょう。しかし、何が重要で何が重要でないかがわからなくなるという意味では、多くの指摘は正しいのです。だからこそ、実は今一番不安なのは、欧米の対応の持続性です。ウクライナでのロシアの侵略が、いつまでも西側諸国で関心を持たれるかどうか。欧米の多くの関係者にとって、実は優先順位が低いという指摘は少なくないのです』