消えたアルプスの村
投稿日 : 2025.12.26
もう40年以上前のこと、仕事で親しくなったスイスの学者の山小屋(別荘)に招待されたことがある。彼の別荘はユングフラウ・アレッチ氷河保護地区の一部、レッチェンタールの谷間にあるブラッテンという村からすこし登ったヴァイセンリートという小さな村にあった。
そこからは谷底のブラッテンの村や向かいにそびえるBietschhornが望め、左遠方にはSchinhornや氷河が眺められるとても静かで美しい光景が広がっていた。
今年、5月そのBietschhornに大規模な地滑りが起き、膨大な岩塊がBirch 氷河の上に落下し、その重みで氷河が谷底に向かって高速で滑り落ち、一瞬でブラッテンの村の教会やホテル、沢山の家屋が木っ端みじんに破壊された。更にその土砂でせき止められた川の水や、大量の氷の融解による水によって村の大部分がみるみる水没してしまった。その衝撃的な様子はYouTubeで見ることができる。
あの山荘はどうなっただろう?
向かいの山から谷底へ高速で落下した膨大な土砂は、谷底を通り過ぎて山荘のある対岸へちょうど振り子のように駆け上ってきた。しかし奇跡的にちょうどその山荘の足許近くで止まった。
話しによると、この崩壊は気候変動による氷河の氷解ではなく、たまたま山の大規模な崩壊によるもので、運悪く氷河の上に岩塊が積もったためだという。
筆者はスイスの谷の形から氷河によって削られてできたのだろうと想像してきた。しかし、そうではなく、山そのものの崩落によるもので、昔から起き続けてきたものらしい。
知人も奥様もすでに故人であるが、娘さんの話では、ヴァイセンリートの村は助かり、山荘もガラス窓が割れた程度で済んだということである。
写真はYouTubeの動画の一コマで、崩れた土砂がすぐそばまで襲ってきている様子がわかる。丸印は小さなチャペルである。
チャペルの写真は筆者がその昔撮ったもので、はるかに望めるSchinhornの姿は今と変わらない。
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