8.通電の中毒現象その他
投稿日 : 2009.09.03
Monaldi吸引を行っている患者のcatheterの創口に出来た肉芽(granulation)を注意して観察すると興味ある事実を発見した。通電が始まるとその肉芽は萎縮し乾燥し同時に咳嗽、喀疾も軽快した。しかし通電を2~3ヶ月つづけると肉芽は通電を始めることによってかえって湿潤となり、咳嗽、喀疾も増加してくる。
奇妙なことではあるが、この様な通電の中毒現象の場合は通電を中止するとかえって通電開始の様な良好な状態となる。これは一種の逆転現象である。蛋白がその複雑性にも不拘主として正負の二面性を示す事が多い事を考えれば甚だ興味がある。
またこの様な中毒現象の場合は2週間おきに通電すると一応良好な状態を保てる。長期の化学療法が2週間おきに変更される ーこれは経験的に臨床医が得た結果であるー 事を合わせて興味深い。
本質論から申せば電磁場と言う点では両者は共通点をもっている。また湿布法で3~4ヶ月毎日数時間づつ通電していると重症肺結核において一様に無気肺と思われる ー剖検でもその様に考えられるー 陰影の出現をみた。これも興味ある事実である。湿布法の場合ですら、電極付近の浮腫の移動、頻発する血疾及び喀血、陽極付近のメラニン色素の一時的消失等興味深い事柄が観察された。