7 どうして色が変わる?
投稿日 : 2021.06.14
最初に現れる発光のスペクトルは分かりましたが、それがどのような化学物質とか生体物質によるものかを特定することは筆者にはできません。
ただ、このような振動構造を持つ場合は、その発光に寄与する電子と分子構造によって決まる分子振動とのエネルギーのやり取り(相互作用)の強さがあまり強くないときにみえるもので、このようなスペクトルの構造が発光スペクトルと吸収スペクトルに見える例は、いろいろ知られていたと記憶します。もしそうなら、今の場合、スペクトル帯のピークの間隔が100mV程度ですので、その分子が伸縮する振動数に相当するような値にあうのではと想像しました。これは詳しくは化学のデーターベースで探せばわかるはずです。筆者の興味は、それではなく「どうして色が変わるのか?」ということでした。
次の図は、ある個体で最初青く光っている狭い領域(A)が時間が経つと赤みを帯びた(B)とき、同じ場所のはじめと後のスペクトルを比較したものです。
これを見ると、最初、青く見えるときのスペクトルは前の節で示したものと似ています。また赤く見える場合には、波長の長い光が相対的に強くなっているので、見た目の様子と矛盾しません。この原因として、二つの可能性を考えました。
1)光っている組織の中に2種類の物質(αとβ)があって、時間が経てばαからβへ変化していく場合。
2)同じ物質が最初から最後まで同じ発光を示すが、何か別の理由で色が変わったように見える場合。
物理学の知識として、もし1)の場合には、分子の発色団の色の変化は、主に関係する電子の励起エネルギー状態の変化を伴い、それにともなって分子構造も変化するので、その様子がスペクトルの形状に現れるのではないかと思いました。しかし、このスペクトルの変化はその考えでは説明できないような印象を得ました。もしそうなら、理由は2)のはずです。
それを暗示する例がありました。それも筆者の想像の域を超えていました。しかし、あとで「そうか」と納得しました。
コメント