はじめに

投稿日 : 2021.06.17


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光はもっとも身近な自然現象です。

生き物は太古の昔から太陽の光の恩恵を受けて生命を維持してきました。また、動物は周りの環境を見極め、獲物を認識し、危険を避けるために目という精巧な光学装置を備えて活用してきました。

この光の正体を筋道だって解明してきた人類の成果として、今日の物理学の基礎が築かれたといえます。

この拙文は、その基礎的な事柄の中で、特に光の物理学に直接関係する、「これだけは知っておいて損はない」と筆者が思ったことや、すこし話のネタになりそうなことだけをメモとしてまとめたものです。

物理学は、私たちの身の回りでいつも見ている自然現象を筋道だって理解し、その中に隠れている基本原理を見つけ出す学問です。

しかし、小難しい理屈を数式を使ってこねまわす学者の道楽だといわれたりします。しかし、実は誰もが少しきちんと知っていると、危険から身を守ったり、楽をしたりするために大いに役立つアイテムを開発してきた学問です。また、科学的という言葉に騙されないためにも役に立つことがあります。

昔、光は小さな砂粒のような細かい「粒子」の集まりで、周囲の景色が見えるのは、瞼を開くとその粒が飛び出して物に当たって跳ね返され、再び目に戻ってくるからだと思われていました。この考えは馬鹿げていそうに思えますが、これが力学の基礎を築く上でとても大きな役割を果たしました。「はやぶさ」が小惑星まで旅してお土産を持って帰れるのも、この力学のおかげです。

やがて、これでは十分でなく「波」だと考えられるようになりました。光が干渉することは今ではよく知られた現象です。また、相対性原理がこれから生まれ、スマホのGPSはこの理論がなければ実用にならなかったでしょう。

さらに、これでも不十分で、粒子でもあり波でもある今日「フォトン」と呼ばれる「量子」であることがわかりました。この発見がきっかけとなって、量子力学と呼ばれる今日の先端科学や技術に不可欠な力学理論が発見されました。

ここではその歴史を踏まえて、番号順に話を進めます。

数式の説明や、すこし専門的なこと、また、筆者が教科書とは少し違った道筋で考えたことなどは、本文中に「こちら」をというようにリンクを用意しています。

気が向けば、そして必要な時にだけに参照ください。間違いも多いでしょうから、間違い探しの演習問題としてもご利用ください。すこし長丁場の記事になりそうなので、順次追加していくことになります。

まず、どうして「イカの目玉からなのか」から始めます。

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