41 おわりに
投稿日 : 2022.04.15
これまで光科学の基礎的な事柄を筆者の興味に沿ってメモしてきました。しかし、光の波長の範囲には限りがありませんので、話題も尽きることはありません。そこでこのあたりでメモをいったん閉じることにしました。
光科学が物理学というか自然科学の基礎を固める上でいつも重要な寄与をしてきたことは、筆者の拙文からもお分かりになるとは思いますが、それは有名、無名の多くの科学者の知恵と工夫と努力が実を結んだ結果です。
その中で、もっとも独創的で本質的な寄与をした教科書に名前が残っている科学者をできるだけ少数選べといわれたとして、筆者は次の人々を挙げたいと思います。
ホイヘンス、ボルツマン、ナタンソン、ド・ブロイ、パウリ、そして、ベルです。次がその理由です。
1)ホイヘンス:光が真空の空間で伝わる波動としてのモデルを考案し、真空の空間を満たしている架空の媒質、エーテルを考えました。この媒質の存在を否定することから相対論が生まれました。
2)ボルツマン:エントロピーの増大の法則は、時間の流れの方向性を決めています。この本当の理由は解明されていないようです。
3)ナタンソン:量子の不可弁別性(同じ種類の量子は区別がつかないこと)を意識して、プランクの放射公式を導きました。この性質が量子と古典粒子を見分けるカギになります。
4)ド・ブロイ:いうまでもなく物質粒子の持つ波動性を予言しました。これから量子論の飛躍的な発展が促されました。
5)パウリ:量子のスピンの概念を生む基礎をきずき、パリティーの非保存性に至る道を拓きました。もっとも、スピンの本質は、電荷と同様まだ未知の領域のようです。
6)ベル:量子力学を実験で検証する方法を見つけました。
なお、光と生き物との接点の話題は、筆者の興味の中心ですが、この部分は別の形でいつかメモしてみたいと思っています。
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